まず、動かしてみてください
スライダーを右へ動かすと、鍵が少しずつ入っていきます。ピンが山に乗り上げ、谷で落ちる動きを見てください。奥まで入って5本がそろうと「鍵を回す」が押せるようになります。
スライダーを右へ動かすと、鍵が少しずつ入っていきます。鍵の山が下ピンを押し上げ、山を通り過ぎると谷に落ちる——この上下の動きが、鍵を挿すときに指に伝わるあの感触の正体です。
登場するのは4つだけ
外筒(シェル)
錠前の外側の固定された部分です。扉に取り付けられていて動きません。
内筒(プラグ)
鍵を挿す穴があいた、回転する部分です。ここが回るとデッドボルト(かんぬき)が動いて解錠されます。
ピン
上下2本1組で、ばねに押されて下がっています。ふつう5〜6組入っています。
シアライン(せん断線)
外筒と内筒の境目です。ここにピンの継ぎ目がそろったときだけ、内筒が回せます。
なぜ「正しい鍵」だけが回るのか
鍵を挿していないとき、ピンはばねに押されて下がりきっています。上ピンが外筒と内筒の両方にまたがって刺さっているので、内筒は物理的に動けません。これが施錠状態です。
鍵を挿すと、鍵の山(ギザギザ)がそれぞれの下ピンを押し上げます。山の高さがぴったり合っていれば、上ピンと下ピンの継ぎ目がシアラインの高さでそろいます。この瞬間、外筒側にあるのは上ピンだけ、内筒側にあるのは下ピンだけになり、両者をつなぐものがなくなります。だから内筒が回るのです。
合わない鍵では、押し上げすぎたり、足りなかったりします。1本でもシアラインをまたいでいれば、内筒は回りません。5本すべてが同時に正解でなければ開かない、というのがこの錠前の要点です。
「鍵違い」の数はどれくらい?
ピンが5本で、それぞれの山の高さが6段階あるとすると、単純計算で6の5乗=7,776通りになります。実際には隣り合う山の高低差に製造上の制限があるため、使える組み合わせはこれより少なくなります。ピンの本数と段階数を増やすほど、鍵違いの数は跳ね上がります。防犯性の高い鍵ほどピンが多いのは、このためです。
防犯性の差は、どこから生まれるか
ここまでの仕組みが分かると、錠前ごとの強さの違いも理解しやすくなります。要点は「正解の組み合わせがどれだけ多いか」と「シアラインをどれだけ狙いにくくしてあるか」の2点です。
| 種類 | 特徴 | 防犯性の目安 |
|---|---|---|
| ディスクシリンダー錠 | 鍵の両側がギザギザ。1970〜90年代の住宅に多く使われた旧世代の錠前。 | 低い。2000年前後に弱点が広く知られ、現在は交換が推奨されます。 |
| ピンシリンダー錠 | 片側がギザギザ。上で説明した基本構造。 | 中程度。製品によって差が大きく、対策部品の有無で変わります。 |
| ディンプル錠 | 鍵の平面にくぼみが並ぶ。ピンを複数列・複数角度に配置できる。 | 高い。鍵違いの数が桁違いに多く、現在の主流のひとつです。 |
| ロータリーディスクタンブラー錠 | ピンではなく回転する円盤で構成される。 | 高い。日本の住宅で広く採用されています。 |
さらに、上ピンの形状を工夫して不正操作を検知しにくくする部品や、ドリルに耐える硬い部材を組み込んだ製品もあります。同じ「ディンプル錠」でも、実際の性能は製品ごとに差があります。
ご自宅の鍵を見分ける目安
玄関の鍵を手に取って、次のどれに当てはまるか見てみてください。
鍵の両側がギザギザで、鍵穴が縦一直線の細い溝なら、旧世代のディスクシリンダー錠の可能性があります。築年数の経った住宅では、いまも現役で残っていることがあります。この場合は交換をおすすめしています。
片側だけギザギザならピンシリンダー錠、平らな面に丸いくぼみが複数ならディンプル錠です。
判断に迷う場合は、お電話でも特徴をうかがえばおおよその見当をお伝えできます。実物を見せていただければ、交換が必要かどうかもはっきりお答えします。
鍵の種類の判別、防犯性の高い錠前への交換のご相談を承っています。
お見積りは無料です。